「京都ユネスコ日本語教室の1周年を迎えて」

西川昭寛

昨年9月から日本語教室を開く準備をしていたところ、おさまっていたコロナ禍が再び勢いを増したことからやむなく一旦開講を延期し、3か月後の12月11日にやっと第一回の教室を開くことができました。教室は第二・第四土曜日の月二回で、受講料は毎回100円にしています。最初の受講生はブラジルの青年で、滋賀県から京都に移ってきて新しい仕事に就いたのだが、言葉の問題で仕事に支障があることから仕事で使える日本語の学習がしたいとのことでした。その後もインドネシアの社会人、シンガポールの社会人、中国の留学生、スイスのインターンシップの女性などがあり毎回2―3名の受講生があります。他方、学習支援者(日本語の先生)は全員ボランティアの素人集団で男性2名、女性3名で構成されています。

さて、外国人の就労者を増やす国の施策にあって多文化共生は喫緊の課題となっていまして、日本語教育はその中で最も重要なものとしてその活動が望まれています。そもそも日本での就労の条件として本国で日本語教育を受けた者となっていますが、現実はその基準が守れていません。日本での日本語教育は有資格者による日本語学校が一番いいのでしょうが、極端に受講料が高く外国人就労者が通えるものではありません。従ってボランティアによる安い日本語教室が外国人就労者の受け皿となっているのが現状です。1年間の経験を通して浮かび上がってきた私たちの教室が抱える問題は以下のような事柄です;

  • 学習支援者に日本語指導の知識が無いこと
  • 受講生が毎回異なるので準備が難しいこと
  • 受講生の日本語レベルが異なるのでその対応が難しいこと
  • 受講生が少ないことなどです。

問題点1)・2)・3)の解決について、私たちは独自の指導法を検討しました。検討の結果「多文化共生」が相互理解であることから、日本語を一方的に教えるだけではなく日本語を教えながら受講者の文化を学ぶ教室にすることでした。ひとつの日本語のフレーズからブラジルの文化、シンガポールの文化、中国の文化、スイスの文化が学べる教室です。この方法で日本語を勉強するのは時間がかかりますが、私たちは教えながら学び、学びながら教える姿勢こそが本当の「多文化共生」につながると考えています。問題点の4)については生徒募集の動画の作成が急務だと考えていまして、その財源として京都市国際交流協会の補助金に応募し、今回無事に補助金の支給が確定しました。学習指導員一同は来年も引き続き努力する次第でございますので、皆様のご支援をお願いいたします。

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